構想6か月のアプリがようやく完成した話 〜最終話 線の改善のその先に〜
ようやくアプリの作成に取り掛かりました。
あとは作るだけ。
作るだけと言えど、それもまた長い道のりでした。
アプリ作成時のポイント
業務の抜けを防ぐために
プロセス管理を取り入れることで、ポータル画面の未処理部分に自身に割り振られている作業が件数で表示されるため、タスクの見える化ができる。これだけでも抜けの防止に役立ちます。
ここではプロセスが複雑にならないよう気を付けました。
プロセスは一方通行で、なるべく多くならないようにしました。
同じ作業者が続く場合はステータスは変えずにラジオボタンで「状態」を表すフィールドを作成。
「ステータスを進めなければならない」ということも、ある種ストレスになるかもしれないと考えたからです。
在庫引き当てミスを防ぐために
以前までの在庫引き当ては手書き(手打ち)で行っていました。
なのでLot Noを書く際に例えば「621」を「612」と書いてしまったりするミスがありました。
このミスの防止策は、TISさんの「ルックアップ動的絞り込みプラグイン」を使用し、在庫表アプリから商品コードフィールドで絞り込んで表示させ、そこから選択して入力するという方法を取りました。
これでLot Noを手打ちすることがなくなったので、入力ミスを無くすことができました。
※これも在庫管理をkintone化できたことで実現したことです。
分散していた情報の集約
これはアプリを一つにすることで情報の集約は可能でした。
ただし、元々3つあったアプリを一つにしたため、フィールド数が増えてしまうことになります。
もう一度必要なデータを洗い出すことと、ストックとフローの使い分けを意識してフィールドの構成を考えました。
それでもフィールド数が多くなってしまうことは避けられないので、ワークフローに合わせて上から下へ入力が進んでいけるようにフィールドを配置することを意識し、フィールドの下の方に入力する際に上の方のデータを確認しないといけない場合があったので、「スペースフィールドに当レコードの必要情報を表示する」カスタマイズをして画面を上下しなくていいように工夫しました。
一覧画面
ステータスや情報に合わせた一覧を設定しましたが、当社には、「ドロップダウンから一覧を選ぶ」ことを知らない人がいます。
もちろん説明すれば済む話なのですが、今後もそういう人が出てこないとは限らず、また聞かれることもなく説明することもなく使用する可能性もあるので、設定した一覧を遷移するボタンを設置しました。
一連のワークフローとアプリの完成
kintone以外のものも使うという選択
私自身のスキルの問題もあったり、導入できるプラグインにも限りがあります。
現場からの要求を見ると、プラグインでは対応しきれない、JavaScriptで開発をするとできなくはないけど・・・というものもあったりします。
ですが無理してカスタマイズするのは避けるべきです。自分でメンテナンスできないカスタマイズをするのはとても危険です。
なので、kintoneだけで業務を完結するのではなく、kntoneと他のツールを使い分けることで無理なカスタマイズをしなくてもワークフローが自然に回せるようになりました。
本来は最終的に帳票を印刷したいので、帳票出力プラグインを入れたいのですが、有償プラグインを今以上導入することは会社的にNGだったため、別の方法が必要でした。
色々考えた結果、Excelに出力し、Excelの帳票を作成するという以下の方法に落ち着きました。
Power QueryでアプリのデータをExcelに出力
VBAで帳票を作成する
「Power Queryを更新し必要なレコードをエクセルに出力し、VBAを実行して帳票を出力」するフローをPower Automate Desktopを使って実行すれば半自動での帳票出力作業が実現しました。
ワークフローの完成
これで一連のワークフローの見直しも終わり、アプリの運用開始のめどが立ちました。
それでもすべてが完成したわけではなく、業務を進めていくうえでまた改善点は出てくるでしょう。業務を進めながら改修していけるのもkintoneの大きな強みです。
継続的な振り返りを行い、もっともっとよくしていきたい。
kintone.cybozu.co.jpできれば次は私抜きで改善のプロジェクトを進めるようにしてもらいたい、というのが正直な願いです。
最後に
ここまでたった一つのアプリを作ったというだけの長話でした。
仕事とは小さな改善の繰り返しです。
小さな点の改善の繰り返しがやがて線になって繋がっていきます。
そしてその線と線がさらに繋がって円になったとき、いい業務サイクルとなって回っていくものなのかなと思っています。
kintoneを使っていいサイクルを回していけるよう、これからも精進していきたいと思っています。
無事アプリの使用説明会も終え、構想開始から6か月、ようやくアプリのリリースの日を迎えました。
いいものができたと納得しながらも、もっといいものが作りたいという気持ちがまた生まれました。
そしてこれだけ考えたアプリの運用を開始した次の日、さっそく業務漏れが発生していたことは内緒にしておきます。
ー 完 ー